東京高等裁判所 昭和29年(う)394号 判決
被告人 山野辺信太郎 外
〔抄 録〕
被告人藤沼の弁護人の論旨第一点について。
しかし窃盗の訴因を明示するためにその目的物が衣類や家具である場合その内容品目を一々克明に記載しなければならないものといえない。いま本件の起訴状をみると、被告人等の各窃盗の公訴事実についてその日時場所及び方法を記載してあるし、その窃取した物件も所論の点についてトツパーコート他背広、ジヤンパー等十八点(価格合計十二万九千六百円相当)を窃取しとの記載があり、罪となる事実はこれによつて特定できるのである。なるほど原判決は婦人物トツパーコート一枚、背広、ジヤンパー等衣類合計十八点(価格合計十二万九千六百円)としてあるが、所論引用に係る水田栄一名義の被害届同被害追加届に記載された被害品目中洋服は上衣だけのものとズボンも入れて上下二点となつているのとちがつて、上衣ズボンを二点として計算し、これを合計すれば正に原判示のとおり衣類だけで十八点の被害があつたことが判るのであり、原判決は右衣類の外衣類掛の被害についてはこれを認めなかつた趣旨であることが明らかである。それ故起訴状記載の被害品目は外何点という概括的記載であつても特定できないわけがなく、論旨は理由はない。